シックハウス症候群の知識を

前掲のように、建築基準法の第一条目的には、

「この法律は建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする」

と記載されている。ユーザーの立場から、「この法律はいったい何なのか?」と言う疑問が生じてくる。すべての建物はこの建築基準法に従い建てられているのである。シックハウス問題を起こした住宅は結果的に違法建築と言うことになりますが、医学的に因果関係が証明されていないため、多くの場合、違法建築と認定されないのが現状です。

 シックハウス症候群の患者は全国で約500万人(朝日新聞2000.5.7)、化学物質過敏症患者約百万人と推定されているのに対策は遅れています。平成15年7月1日の改正建築基準法では厚生労働省が指針値を定めている13物質中、2物質を規制したに過ぎません。機械換気設備設置の義務付けもありますが、有害化学物質は軽い気体、重い気体がありますので、これらを排出するためには、空気取り入れ口をこれらの気体に合わせて各部屋に取り付けないと役に立たないと指摘する学者もいます。

化学関係の書物の試薬の項に
ホルムアルデヒド  ------ 許容濃度5ppm ------
トルエン      ------ 有毒、蓄積性、許容濃度200ppm ------
と記載されているように、化学分野の技術者であれば、毒性に関する知識は常識的な知識です。ビニールクロス、合板等の接着剤、塗料等を開発するとき安全性や人体に与える影響、医学的な問題に配慮がなされなかったのかどうか。健康被害より、経済性を優先したのかどうか。

 大学で新設したパソコンルームに入ったら臭いがひどかったので測定したところ、ホルムアルデヒド濃度1ppmに近い値でした。かなり危険な値で、計測結果を指摘するまで問題になっていませんでした。カーペット、テーブル、パソコンのケースのプラスチック材料などから発生したホルムアルデヒドと思われます。大学でもこのような認知度です。

 最近、私たちの衣食住のほとんどに、多くの化学物質が入り込んでおり、特に若年層は化学物質に過敏な状態となっている。私たちの体は化学物質により汚染されている。それらが相互に影響していると思われる。例えば、ある高校で塗装工事をしている廊下の近くを生徒が通ったとき、めまいを起こして倒れたとの話はこの辺の事情をよく表している。以前であれば考えられないことと思われる。 家庭の生ゴミ、牛の糞、ニワトリの糞などから作った肥料で育てた有機栽培は、安全でしょうか。洗剤、防腐剤、残留農薬、飼料に入っている化学物質など濃縮して作物に与えていると思うのですが。


このような状態から自分自身の安全と健康を守る必要があり、このためには、自己管理と自己責任、より正確な化学物質情報の取得、他人まかせの依存型ライフスタイルから脱却が必要である。室内環境汚染に関しても、快適な環境を得るための知識をユーザーは身につける必要があると考える。

 ヨーロッパでは幼児の玩具の材料として危険性の疑いがあると思われる物質は使わない方向に進んでいる。日本の現状は、残念ながら問題が生じてから議論する方向である。シックハウスはこの典型的な例である。製品を開発する化学技術者の良識に期待したい一方、責任は重大と思われる。

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